Blue Twilight

shion houjouin's diary.

氏ムシメさんの命日 没後8年

f:id:shion_houjouin0056A:20181008073046j:plain

今日は氏ムシメさんの命日。

8年前の今日、多摩川の河川敷で自身の母親と共に硫化水素自殺。

 

享年22歳。

 

僕にとってはもはや、人生の先輩どころか、教祖という存在でもあり、このブログで何度も言及してきたムシメさん。いくら亡くなった後になってから彼の存在を知ったとは言え、新年に入って間もなくこの日が来ると、「今年もついにこの日が来たな」と思うようになっている。だからこそ、僕にとって正月明けの今日というこの日は、特別な日でもある。

そう言えば、僕は去年の命日に、ムシメさんの追悼記事第一弾を投稿した。今回はその第二弾となる。そんな今回は、前回書き述べなかった新たな事を書き述べていきたい。

f:id:shion_houjouin0056A:20181210001036j:image

まずは、前回と同じように、ムシメさんについての簡略的な概要を述べていくとしたい。

氏ムシメ(読み:うじ ムシメ)とは、ブロガー、アマチュアの漫画家・イラストレーター、ネットラジオ放送主としても幅広く活動していた、故人の男性ワーキングプアである。

多彩で多くの趣味を持っていた彼は生前、将来はプロ漫画家になるという目標を掲げながら、漫画とイラストの勉強をコツコツ行ったり、自作の漫画やイラストを描いて、それを実際にブログや無料投稿サイトで発表したり、ネットラジオで漫画・イラストの製作実況や、日常生活とその他の趣味に関するフリートークを配信したり、ブログを毎日欠かさず更新したりして、ネット上で日々活動していた。

 

しかし、その一方で多くの闇や苦しみを抱えていた。

f:id:shion_houjouin0056A:20181212064921j:image

母親が重度の躁鬱病を患っていて、父親は仕事が上手く行かない故にリストラを繰り返している上に、住んでいるマンションがヒューザー製の耐震偽装マンションで、2005年にそれが発覚して社会問題になった時に、ヒューザーに騙されて多額の借金を買ってしまった為に、家庭が大変貧しくて日々の生活が苦しい事。

子供の頃から人一倍不器用で(ブログを読んだ限り、発達障害者だった可能性が高い)、それ故に抱いている計り知れない程の数々の劣等感や、幾多ものいじめと挫折や家庭崩壊などを経験してきた過去の悲惨な生い立ちのトラウマなどに苦しんでいる事。

以上の理由などが原因で、どうしても明るい未来が描けなくて、自分の人生をとにかく悲観している事。

 

そして、惨めな自分の事が殺したい程、とにかく憎くて大嫌いでたまらない事。

f:id:shion_houjouin0056A:20181215184550j:image

それでもムシメさんは、例え身も心も生活もどんなに辛くても、プロ漫画家になりたいという夢を追いつつ、自分自身の為だけではなく、自分の家族を養って守る為や自身の貧しい家庭を支える為にも、毎日死に物狂いで必死にひたむき頑張って生きていた。

 

そして専門学校生活2年目の秋、一人の同級生と共に某ベテラン男性漫画家のアシスタント業に採用されるという大きな転機が訪れた。

この時ムシメさんは、自分自身がついに昔から夢見ていた念願の漫画業界に務められる事に対して大喜びし、明るい未来を夢見ながら期待と希望を持って前向きに前進して行った。

 

…しかし、そこで待ち受けていたのは地獄のような現実と世界だった。

f:id:shion_houjouin0056A:20181216204537j:plain

アシスタント先では、労働基準法をまるっきり無視した最低賃金未満の異常な長時間労働と、劣悪極まりない労働環境や、担当の漫画家と先輩アシスタント達からの陰湿ないじめに同級生と共に散々やられてしまい、それによって、大好きだった漫画その物に対してとうとう拒否反応を起こすようになった。

更には、母親の精神病や家庭生活がどうにもならない事にも追い詰められ、ついにはもう二度と立ち上がれなくなる程心身共にやられ果ててしまった。

 

そうしてムシメさんは、夢を叶える事も、家族と家庭を救う事も、社会や業界で上手くやっていく事もできなかった自分の事を徹底して責めて人間失格と決め付けてしまい、自ら死を選んでしまった。

f:id:shion_houjouin0056A:20181218195746j:image

ムシメさんが漫画の中で一貫して描き続けた物は、世の中と人生の不条理と、人間の醜い部分や、自分自身のような弱者が抱える苦悩などと言った、世の中の負の側面を抉り出すような物だった。

こうした露悪的・厭世的な作風は、彼自身が貧困と幾多ものいじめや挫折などを経験してきた悲惨な生涯を送ってきた影響がそのまま写し出されている他、彼がこの不公平な世の中に対して抱いていた怒りや憎しみが込められている。

f:id:shion_houjouin0056A:20181218195108j:imagef:id:shion_houjouin0056A:20181218195111j:image

数々の漫画作品の中で最も代表的な物は、ワープア漫画道というブログにも連載していた四コマ日記漫画で、この漫画はフィクションを交えながらも、自身が抱えていた悩みや苦しみをはっきりと描いている。

個人的にこの漫画作品は、大嫌いな自分自身を容赦なく虐待しながらも、自分の辛さを必死に発信しているような感じがした。

こちらは一昨年にムシメさんのファンと思われる人物が設立した、ムシメさんの非公式Pixivアカウントであるが、ムシメさんが描いていた漫画・イラスト作品のほとんどは、こちらで読む事ができる。(とは言っても、全て無断転載であるが)

20170329202654

ムシメさんについての概要はここまでとして、ここから本題に入るとしたい。

 

あれから8年、日本はスマホの普及で誰もがどこでも簡単にインターネットができるようになった事や、LINEやムシメさんも使用していたTwitterなどと言ったSNSが爆発的に普及した事で、己の悩みを発信したり、それを他人と共有したりする事が安易な物になっただろう。

そこからは同時に、日本社会の冷たさや日本人の心の貧しさも見えてくる。情報社会は、世間と人間の心の写し鏡だ。

 

特に去年は、日本社会の冷たさや日本人の心の貧しさがよく目立っていた一年でもあったと思う。

f:id:shion_houjouin0056A:20181223162817j:image

出典:NHK

僕が去年起きた事で、特に腹が立った出来事と言えば、やはり外国人技能実習生問題が挙がる。

近年、アジア諸国から多くの若者達が将来社会に貢献する事を夢見ながら、自分自身の為だけではなく、祖国に住む家族の生活を支える為にも、この国に仕事の技能を学びに来ているだろう。

 

しかし、この国のブラック企業らが彼らに待ち受けているのは、まさに地獄その物だ。

 

そして、彼らに与えられているのは夢ではなく、劣悪極まりない労働環境と、労働基準法を完全に無視した最低賃金未満の異常な長時間労働や、企業の上司達からの異常ないじめやパワハラだ。もはや、彼らを人間扱いしているとは思えない。

 

それによって、日本に対する憧れや夢を破壊されてしまい、日本と日本人対するに憎しみを持った人達はともかく、追い詰められた末に犯罪を働いた人達と、謎の失踪を遂げた人達や、自ら命を絶った人達もいる。

f:id:shion_houjouin0056A:20181223173753j:image

彼らを見ると、やはり晩年のムシメさんを思い出してしまう。

 

晩年のムシメさんも、まさに彼らと同じだった。

先程既に述べた通り、プロ漫画家を夢見て専門学校で学んで、2年目の秋に漫画家のアシスタント業に採用されて念願の漫画業界に足を踏み入れたが、そこで労働基準法を完全に無視した最低賃金未満の異常な長時間労働で酷使され、更には担当の漫画家や先輩アシスタント達からの陰湿ないじめやパワハラに苦しめられて心身共にボロボロにされ、ついには漫画に対する憧れや夢を破壊されてしまった。

そして、追い詰められた末に自ら命を絶ってしまった。

 

何故、将来社会に貢献する事を夢見て、海外から遥々来た若者達が、晩年のムシメさんと同じような目に遭い、同じような苦しみを味わなければいけないのか?

この社会問題は本当に胸糞が悪くて、ただただ怒りと憎しみが心の底から絶えなく湧いてくる。それにムシメさんと同じく、追い詰められた末に自ら命を絶った人達もいるのだから。

日本人だろうが外国人だろうが、社員を社員ではなく、奴隷として扱う職場など潰れてくたばってしまえば良い。そう思うばかりだ。

 

しかし、昨年秋に政府が出入国管理法改正案を強制採決したからこそ、外国人技能実習生の悲劇は更に繰り返されていく。そう考えると、ただただ心が痛んで悲しくなる。

f:id:shion_houjouin0056A:20181223192643p:plain

出典:テレビ朝日

次は自己責任論について述べたい。

自己責任論は、昨年シリアでイスラム過激派組織から無事解放されて、無事帰国したフリージャーナリストの安田純平さんの件で議論になっただろう。

特に、日本は昔から同調圧力が強いからこそ、周囲に合わせられない人間は異端者と見なされて迫害を受ける傾向が強い。

 

それが最もと言って良い程悪い例として現れたのが、間違いなく太平洋戦争時代だろう。当時は周囲に合わせられない人間も、そして政府を批判する人間も、非国民と言うレッテルを貼られて酷い迫害を受けた。

 

終戦から70年以上が経った今でも、日本の強い同調圧力は健在だ。こうして見ると日本人は戦前から根本的な部分が何も変わっていないと感じる。

それ故に、社会の競争について行けたり、その中で成功した勝ち組などと呼ばれる強者は、逆に社会の競争について行く事が困難だったり、その中で失敗して転落してしまった負け組などと呼ばれる弱者に対し、「お前がこうなったのは能力が低いお前自身のせいだ」などと決め付けて叩いて切り捨ててしまいがちだろう。例え、負け組側の相手にどんな理由や挫折(家庭問題、生い立ち、病気・障害など)があろうが…。

 

自己責任論は、特に弱者や脱落者を見殺しにする為には本当に都合の良い残酷な物でもある思う。 

f:id:shion_houjouin0056A:20181223210524j:image

だったら僕は言いたい。

ムシメさんの母親が重度の躁鬱病を発症したのは全部彼女の責任なのか?

ムシメさんが幼少期の頃に、ムシメさんの父親が耐震偽装設計などと言う事を全く知らずに、ヒューザー製の新築マンションに住んだのは全部彼の責任なのか?そして、数年後にそれが発覚した時に、ヒューザーに騙されて多額の借金を買ってしまったのも全部彼の責任なのか?

ムシメさんの父親がいくら仕事を真面目に頑張っても、何度もリストラされたのは全部彼の責任なのか?

ムシメさん自身が晩年務めたアシスタント先で奴隷労働をさせられて、担当の漫画家や先輩アシスタント達に散々いじめられて病んでしまったのは全部彼の責任なのか?

本当にキリがない。

 

…だがしかし、この国の大抵の負け組の人々は、「自分が社会の競争に負けて失敗したのは力の足りない自分が悪い」などと思い込んで、自分の首を絞めるように自分を責めがちだ。

だからこそ、そうした人達の中には、自ら命を絶つという取り返しのつかない選択を選んでしまう人達がいるのも事実だ。

そもそも日本人は、「いじめられたり、失態などをおかしたりして、その恥を晒しながら生きるくらいなら死ぬ方がマシ」という「人生で失敗したら負け」的な思想が、昔から強いだろう。(こんな事を言ってる僕自身も、そうした思想が強かったりする)

この国の自殺率が高い理由はまさにそれだ。

 

この国では、弱者もまた、彼らを叩く強者の人々と同じく、自己責任論を過信しているのは言うまでもない。そう考えると、日本人は強者も弱者も共に心が貧しい。

f:id:shion_houjouin0056A:20181226203012j:plain

個人的には、ムシメさん自身も大抵の日本人と同様に、自己責任論を過信していたと思う。

ムシメさんは自罰的なタイプだった故に、何が何でも自分の事をとにかく責め、「自分がこんな状況なのは自分が一番悪い」などと決めつけて、そんな自分の事を徹底して嫌い、憎み、そして自虐していた。それこそが、強過ぎる自殺願望に繋がっていたに違いないだろう。

確かにムシメさんは、この国の政治も、社会も、自分をいじめてくるバイト先の同僚や上司も、そして自分と家族を騙して人生を大きく狂わせたヒューザーも憎悪していたが、何よりも・誰よりも憎悪していたのは自分自身だったと思う。

そうした自罰的過ぎる人柄こそが、社会や漫画業界で上手くやって行く事ができなった上に、プロ漫画家になろうとして失敗した自分自身を自ら負けと認めてしまい、自殺という取り返しの付かない選択を自ら選んでしまった事は言うまでもない。

また、生前のムシメさんと交友関係にあった教育評論家の松本肇さんは、生活に困窮していたムシメさんと彼の家族を何としてでも救う為に、わざわざ友人の弁護士や社会労務士の相談窓口や生活サポートなどを設けたが、結局ムシメさんはそれらに一度も頼る事など無く、自らこの世を去ってしまった。

そもそもムシメさんは、小学生時代に母親が重度の躁鬱病を発症した為に、彼女自身が仕事と家事を行う事どころか、普通の生活を送る事すら困難になってしまってから、自分が母親代わりとして自ら家事などをずっと行って事から、責任感がかなり強かったのだろう。

松本さんが設けたサポートなどに頼らなかった理由は、強過ぎる責任感以外にも、「自分は死にたいんだから、他人の助けなんて別に要らない」という気持ちを持っていたのも理由だと思うが、少しでも他人を頼って欲しかった・他人に甘えて欲しかったのは言うまでもない。

 

こうして考えると、自己責任論とはまさに、日本人の国民病とも言うべき存在でもあるだろう。

f:id:shion_houjouin0056A:20181222102149j:image

僕がムシメさんの事で、今でも特に気になるのは、残された父親と2人の妹さん方の現在だ。

3人とも健在なのか?

ヒューザーの借金や、ムシメさんの専門学校の学費は果たして完済したのか?

今はどこで暮らしているのか?ひょっとしたら、あのヒューザー耐震偽装マンションにはもう住んでいないかもしれない。あるいは一家解散して3人それぞれ別々に一人暮らしをしているかもしれない。

それに、2人の妹さん方に至っては、育った家庭環境と生い立ちのトラウマや、母親と兄の二人を同時に亡くした悲しみを、今でも引きずっているかもしれない。

 

それでも僕は、父親も2人の妹さん方も皆、必ず幸せになって欲しいと願っている。むしろこれ以上絶対に、母親と長男が生きていた頃のような辛い目・不幸な目に遭って欲しくない。

それに、3人共幸せになる事が、きっと亡き母親と長男への一番良い手向けにもなるはずだ。

この動画は、2008年の夏にムシメさんが次女と共に夏祭りに行った時に撮影した動画であるが、ムシメさんと次女のやりとりがほのぼのとした感じで実に微笑ましい。

続いてこちらは、次女の13歳の誕生会を書いた記事であるが、長女がケーキを買った事に続き、ムシメさんが「自分も長女のように、次女の為に何かしなきゃいけない」と奮発してわざわざLサイズのピザを買った事に対して、妹に対する思いやりを感じる。この記事は、ブログの中では特に必見だ。

 

次女も長女も、家族思いの心優しい好青年な兄がいた事や、そんな兄と過ごした時間や思い出を一生忘れないでいて欲しい。僕はそう思っている。 

f:id:shion_houjouin0056A:20181224122233j:plain

出典:毎日新聞

今の時代も、この日本では生前のムシメさんと同じような闇や苦しみを抱えている人々(この僕も含む)や、生前の彼と同じような境遇の人々は沢山いるだろう。いや、今の社会状況からして、むしろ増加し続けているはずだ。

特に、政府の失策や暴走などのせいで、ワーキングプアの人口はともかく、貧困家庭の数も年々増加している一方だ。それによって、生前のムシメさんや彼の家族と同じように、毎日苦しい思いをしながら逼迫した生活を送っている家族は増え続けている。

しかも、子供の貧困率に至っては、先進国で最悪なレベルに落ちている。だからこそ、この国では夢も人生も踏み躙られている子供達も沢山いるのが事実だ。それにこの影響で、非行に走る少年少女がこれから先増えていく恐れもあるだろう。

 

そして、この国の総合的な貧困率は今や、7人に1人というとんでもなく高い割合に膨れ上がっていて、更には、あらゆる面において先進国で最下位に落ちぶれている。こんな国はもはや経済大国などとは決して呼べないだろう。

それだけではなく、この国の世の中では他にも未だに、いじめ、虐待、差別、偏見、貧困、格差、低俗化、そして自殺などと言った負の連鎖が後を絶たない。

 

こんな国はまさに、監獄島という呼び名が似合うだろう。いや、むしろそれ以外に一体何と呼べばいい事か?

この国はムシメさんが生きていた頃に比べて、とことん生き辛く、とことん生き難く、政治も経済も社会も文化も後退しているなとつくづく感じる。

f:id:shion_houjouin0056A:20171120064813j:plain

僕は今まで生きてきた中で、ムシメさん程シンパシーを感じた事のある人物は他に誰もいない。

だからこそ、

「彼なら僕にとって一番の理解者になってくれたはず」

「彼なら僕と良い親友関係を築けたはず」

などと、彼に心酔しながら考えた事は今まで何度あった事か。

 

嫌な事で辛くなった度に彼の事を考えて、彼とのシンパシーを感じて安心を得ようとした事も今まで何度あった事か。

 

それだけではなく、彼と同じように若くして自死したいと考えた事も今まで何度あった事か。

 

もし彼が今日も健在だったら間違いなく、自分の経験を活かしたりなどして、同じような闇や苦しみを抱えている人々や、同じような境遇の人々の癒し手になっていたかもしれないだろう。

そうした理由もあって、僕は社会問題の一環としても、ムシメさんの存在を風化させてはいけないと思っている。だからこそ、今後もできれば今日のように、こうした場などでムシメさんの事を語り継いで行きたい。

 

最後に、これは今まで何度も言って来た事だが、ムシメさんも彼の母親も、来世は貧困といじめや心の病などとは無縁で、苦しみも悩みも災いもなく、「生まれて来て良かった」「生きていて良かった」などと心の底から思えるような、嬉しい事や楽しい事に沢山満ち溢れた、安穏で充実した幸せな人生を必ず送って欲しい。それこそが、彼と彼の母親に対する僕の一番の願いであり、一番の手向けでもある。

それに、もしそうだとしたら、次はできれば今の日本のような冷たい国ではなく、人々の心も社会も共に豊かな国に生まれ変わっていて欲しいとも願っていたりする。

 

そして、合掌…。